事業承継
事業承継の3つの方法:従業員承継・親族承継・M&Aの違いと進め方
事業承継は、企業の存続と成長を確保するために欠かせないプロセスです。経営者が高齢化する中、円滑な事業承継を行うことは企業の未来を左右します。主に「従業員承継」「親族承継」「M&A(第三者承継)」の3つの方法があり、それぞれにメリットとデメリット、適切な進め方があります。本コラムでは、それぞれの承継方法の特徴と進め方について詳しく解説します。
- 従業員承継
- 特徴
従業員承継とは、現在の企業に所属している役員や幹部社員に事業を引き継ぐ方法です。企業文化や経営方針を熟知しているため、比較的スムーズな承継が可能です。また、従業員からの信頼も得やすく、社内の混乱を最小限に抑えられる点が特徴です。 - メリット
・企業文化や経営理念を維持しやすい
・既存の人材が経営を理解しているため、引継ぎがスムーズ
・取引先や従業員の信頼を得やすい
・事業運営が比較的安定しやすい - デメリット
・経営者としての資質やリーダーシップの育成が必要
・株式譲渡や事業買収のための資金調達が課題
・従業員の中に適任者がいない可能性がある
・事業規模の拡大が難しく成長が停滞する可能性がある - 進め方
1.適任者の選定(役員・幹部候補から選ぶ)
2.経営者教育・育成プログラムの実施(リーダーシップ・経営スキルの習得)
3.株式譲渡やMBO(マネジメント・バイアウト)の検討
4.取引先・従業員への説明と承認
5.事業承継後のフォローアップ体制の構築
- 特徴
- 親族承継
- 特徴
親族承継は、経営者の子どもや親族が後継者となる方法です。以前は最も一般的な承継方法でしたが、近年は親族内に適任者がいないケースも増えており、減少傾向にあります。ただし、経営者としての長期的な視点を持ち、事前に教育を施すことで、事業の安定的な継続が可能となります。 - メリット
・経営理念や企業文化の継承が容易
・長期的な視点での経営が可能
・事前に時間をかけて後継者育成ができる
・経営者の意思決定がスムーズ - デメリット
・親族内に適任者がいない場合がある
・相続・贈与税の負担が大きい場合がある
・社員や取引先の納得を得る必要がある
・経営能力が十分でない場合、企業の競争力が低下するリスクがある - 進め方
1.親族内での後継者の選定
2.経営者教育(社内外での経験を積ませる)
3.株式や財産の相続計画の策定(税対策の実施)
4.従業員・取引先への承継発表
5.後継者がスムーズに経営を引き継げる環境の整備
- 特徴
- M&A(第三者承継)
- 特徴
M&A(企業の合併・買収)を利用し、外部の企業や投資家に事業を譲渡する方法です。後継者がいない場合や、企業のさらなる成長を目指す場合に選択されることが多いです。また、M&Aを活用することで、企業価値を最大限に引き出しながら承継を行うことが可能となります。 - メリット
・後継者不在でも事業を継続できる
・売却益を得ることができ、経営者の資産形成につながる
・企業規模の拡大やシナジー効果を期待できる
・承継プロセスを比較的短期間で完了できる
・資金力のある企業に引き継ぐことで、さらなる事業成長が期待できる - デメリット
・企業文化や経営方針が変わる可能性がある
・買い手の選定や交渉に時間がかかる
・M&A後のPMI(統合プロセス)の負担が大きい - 進め方
1.M&Aの目的や条件の整理(売却額・条件など)
2.M&A仲介会社や金融機関へ相談し、候補企業をリストアップ
3.買い手候補の選定と交渉(デューデリジェンスの実施)
4.契約締結・事業譲渡
5.PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)の実施
- 特徴
- まとめ
これらの承継方法を比較した結果、企業の成長性、経営者の負担軽減、資産形成の観点からM&Aが最も優れた選択肢であると考えられます。特に、中小企業においては後継者問題が深刻化しており、従業員承継や親族承継では限界があるケースが多いです。その点、M&Aは企業価値の最大化を図りつつ、次世代へと円滑に事業を引き継ぐ最適な方法と言えるでしょう。